薬剤負担の取扱いについて(薬剤負担の具体的算定方法)
〜厚生省保険局医療課 平成9年7月25日〜
Last updated on 8/13/97


1 種類数、日数について(法第43ノ8第2項)
(1)概要
○外来の薬剤に対する一部負担
内服薬  投薬ごとに1日分につき
       1種類      0円
       2〜3種類   30円
       4〜5種類   60円
       6種類以上  100円
外用薬  投薬ごとに
       1種類     50円
       2種類    100円
       3種類以上  150円
頓服薬  投薬ごとに
       1種類につき  10円

(2)種類数
○種類数の算定は、健保法第43条ノ9第2項の規定に基づいて厚生大臣が定める療養の給付に要する費用の算定方法(診療報酬点数表)による薬剤の種類数の算定と同様とする。
○種類数は、投薬ごとに算定するものとする。投薬とは、処方料及び処方せん料の算定の単位となる処方ごとに行われるものとして取扱う。

(3)内服薬の日数
○それぞれ投与日数が異なる複数の内服薬の投薬が行われた場合については、実際の服用日にかかわらず、処方日から連続して服用したとして計算する。ただし、例外的に、ある薬剤の服用の終了後に別の薬剤の服用が行われるような処方の場合は、まずある薬剤について、次に別の薬剤について負担額を計算し、両者を合算する。
(例)以下のような投薬が行われた場合
     A(1mg 3T)
     B(3T)     6日分・・・イ剤
     C(5mg 2T)
     D(2T)     4日分・・・ロ剤
1)イ剤・ロ剤とも処方時点から毎日服用する場合/イ剤を毎日、ロ剤を1日おきに服用する場合
⇒処方日から連続して服用したとして計算
   (イ剤、ロ剤がそれぞれ1日分205円を超える場合)
     4種類の投薬が4日分、2種類の投薬が2日分
      60円×4+30円×2=300円
   (イ剤のみが1日分205円以下の場合)
     3種類の投薬が4日分、1種類の投薬が2日分
      30円×4+0円×2=120円
2)イ剤の服用後、7日目からロ剤を服用するような処方の場合
⇒まずイ剤について、次にロ剤について負担額を計算し、両者を合算
   (イ剤、ロ剤がそれぞれ1日分205円を超える場合)
     2種類の投薬が10日分
      30円×10=300円
   (ロ剤のみが1日分205円以下の場合)
     2種類の投薬が6日分、1種類の投薬が4日分
      30円×6+0円×4=180円

2 負担を徴収する薬剤の範囲(法第43条ノ8第3項)
(1)負担を徴収する薬剤の範囲(第1号、第2号)
○負担を徴収するのは、診療報酬点数表における投薬の部で、入院外で投与されるものに限るものとする。(厚生大臣告示)なお、在宅の部で投与する薬剤については、院外処方の場合、処方せんの「処方」欄に、(免)と記載することとする(注射薬については省略可とする)。

(2)包括点数(第3号)
○診療報酬の算定において薬剤料が包括して算定される療養については、負担を課さないこととした。
   具体的には、
・医科診療報酬点数表区分B001−3運動療法指導管理料
・同表区分C003在宅末期医療総合診療料(老人医科診療点数表において読み替えられたものを含む)
・老人医科診療報酬点数表第2章第1部1老人慢性疾患外来総合診療料
・同表第2部1寝たきり老人在宅総合診療料が算定されるべき療養とすることとした(厚生大臣告示)。また、これらの療養に当たって院外処方が行われる場合についても、負担を課さないこととした。
○院外処方の場合は、処方せんの「処方」欄に(免)と記載することとする。
○急性増悪の場合の出来高への変更の取扱い包括点数の算定対象となっている患者について、急性増悪等により出来高による算定となった場合は、当該急性増悪等以後は薬剤負担が課されることとなる。

3 1剤が一定額以下の場合の見なし措置(法第43条ノ8第4項)
○1剤の薬剤について薬価基準により算定される購入価格が1日分205円以下の場合は、当該1剤の薬剤を1種類の薬剤と見なすこととした。
○剤とは、診療報酬点数表による薬剤料の算定の際に用いる剤と同様とする。

4 薬剤一部負担の限度額(法第43条ノ8第5項の規定に基づく政令)
○薬剤一部負担の額は、当該一部負担に係る薬剤料を超えないものとする予定。

5 小児の負担免除(法第59条ノ2)
○6歳未満の者については、薬剤一部負担を課さないこととした。
○6歳未満の者については、レセプトの生年月日欄には月まで、処方せんの生年月日欄に月日まで記載することとする。

6 低所得者世帯の老齢福祉年金受給者の負担免除(老健法第28条第9項)
○市町村長の言忍定を受けた低所得者世帯の老齢福祉年金受給者については、薬剤一部負担を課さないこととした。
○市町村長は、外来薬剤一部負担金免除となる者の申請に基づき認定を行い、認定証を交付するものとする。(認定証は、現行の入院時一部負担金減額認定証の様式を改正し、入院時一部負担金減額と外来薬剤一部負担金免除についての共通の認定証とする。)

7 その他
○公費負担医療各制度については、薬剤負担導入後も従前どおり公費負担措置を行うこととする。
○公費負担医療併用の場合であって、公費負担医療の対象となる薬剤(以下「公費対象薬剤」という。)と対象外の薬剤が同時に支給される場合の薬剤負担金の扱いについては、
1.まず、公費対象薬剤の種類数により算定した負担額を公費負担医療分の薬剤負担公費対象薬剤負担)とする。
2.次に、全体の薬剤により薬剤負担を算定し、その額から当該公費対象薬剤負担を控除した額を医療保険分の薬剤負担とする。
 (例)以下のような投薬が行われた場合(A〜F薬の合計は205円を超えると仮定)
     A  3日分
     B  3日分
     C  3日分
     D  3日分
     E  3日分(公費対象薬剤)
     F  3日分(公費対象薬剤)
    公費対象薬剤負担 2種類分 30円×3=90円
    医療保険分    6種類分−2種類分
             100円×3−90円=210円


健康保険法改正の概要はこちら