児童手当の支給対象年齢が拡大されました
〜厚生省〜
Updated on 6/29/2000

 今般、児童手当法が改正され、平成12年6月1日以降、従来「3歳未満」とされていた児童手当の支給対象年齢が「6歳到達後最初の年度末まで(すなわち義務教育就学前まで)」に拡大されました。対象となる方は、手続が必要となりますので、住所地の市区町村窓口(公務員の場合は勤務先)に必要な書類等を提出することをお忘れのないようにお願い致します。具体的な手続方法等については、各市区町村において広報等を行っていますが、手続が遅れますと、受給できる額が少なくなる場合がありますので、くれぐれもお気を付け下さい。
 なお、所得制限がありますので、受給できるかどうか分からないという場合や、手続にどのような書類が必要かなど、詳しくは市区町村窓口(公務員の場合は勤務先)にお問い合わせ下さい。
問い合わせ先 厚生省児童家庭局育成環境課児童手当管理室
       03−3503−1711(内線)3120

児童手当制度改正の概要
1.支給対象年齢の延長
改正前 3歳未満 → 改正後 義務教育就学前まで
  (6歳到達後最初の年度末まで)

2.手当額
改正前と同様 第1子 月額 5,000円
第2子 月額 5,000円
第3子以降 月額 10,000円
3.所得制限
 受給資格者の前年(場合により前々年)の所得(市町村民税に係る総所得金額などから一定額を控除)が、下表の限度額以上であるときは、児童手当は支給されない(改正前と同様)。
(参考)平成12年度所得制限限度額表
扶養親族等の数 児童手当(万円) 特例給付(万円)
0人 170 361
1人 208 399
2人 246 437
3人 284 475
4人 322 513
5人 360 551
(注1)表の「特例給付」の欄は、厚生年金等に加入している被用者の場合のみ適用。
(注2)所得税法に規定する老人控除対象配偶者又は老人扶養親族がある場合は、表の額に当該老人控除対象配偶者又は老人扶養親族1人につき6万円を加算した額。

4.その他
 今回の改正による新たな給付の支給は、6月以降分からとなり、その支払は原則として10月である(児童手当の支給は、2月、6月、10月の年3回)。


児発第540号
平成12年5月26日

都道府県知事 殿
厚生省児童家庭局長

児童手当法の一部を改正する法律の施行について

 児童手当法の一部を改正する法律は、平成12年5月26日法律第84号として公布されたところであり、併せて児童手当法施行令及び児童手当法に基づき市町村に交付する事務費に関する政令の一部を改正する政令(政令第226号)及び児童手当法施行規則の一部を改正する省令(厚生省令第96号)についても同日付けで公布されたところである。
 今回の児童手当制度改正の趣旨及び内容は次のとおりであるので、十分御了知の上、市町村をはじめ関係各方面への周知について特段の御配慮をお願いするとともに、その施行に遺憾なきを期されたい。
 なお、この通知は、地方自治法(昭和22年法律第67法)第245条の4に規定する技術的な助言に当たるものである。

第1 改正の趣旨
1 少子化への対応の基本的考え方
 わが国の合計特殊出生率は、平成10年に1.38と過去最低を記録するなど、少子化が進行しており、このような急速な少子化は、労働力人口の減少、高齢者比率の上昇や市場規模の縮小、現役世代の負担の増大などを通じ、経済成長へのマイナス効果や地域社会の活力の低下、子どもの健全な成長への悪影響など将来のわが国の社会経済に広く深刻な影響を及ぼすことが懸念されているところである。
 少子化の直接の要因は、晩婚化の進行などによる未婚率の上昇であるが、晩婚化の背景としては、結婚観、価値観など個人の意識の変化と併せて、子育てそのものの負担感、あるいは仕事と子育ての両立の負担感が様々な要因により増大していることが指摘されている。
 改めて言うまでもなく、結婚や出産は当事者の自由な選択に委ねられるべきものであるが、政府としては、少子化に対応するため、仕事と子育ての両立の負担感や子育ての負担感を緩和・除去し、安心して子育てができるような環境整備を進めるとの観点から、少子化対策を推進する必要がある。
 このため、平成11年12月には、少子化対策推進関係閣僚会議において、政府が中長期的に進めるべき総合的な少子化対策の指針として「少子化対策推進基本方針」が定められ、またこれに基づく具体的な実施計画として、厚生大臣を含む関係6大臣の合意として「重点的に推進すべき少子化対策の具体的実施計画について」(新エンゼルプラン)が策定されたところであり、保健福祉、雇用、教育、住宅など幅広い分野の施策にわたり総合的な少子化対策を推進しているところである。
 さらに、少子化対策は、官民を通じた社会全体の取り組みとして国民的な理解と広がりをもって推進することが重要であるとの観点から、民間団体等における取り組みについて、平成12年4月、内閣総理大臣の主宰の下で各界関係者が参加する「少子化への対応を推進する国民会議」において「国民的な広がりのある取組みの推進について」が取りまとめられたところである。

2 児童手当制度改正の趣旨
 今回の改正は、前記1のような幅広い分野にわたる総合的な少子化対策を展開する一環として、その重要な一翼を担うものとして、児童手当制度の拡充を図るものである。
 かねてより世論調査等において、子育てに相当の費用がかかることが子育ての負担感を高める要因の一つとして挙げられており、子育ての環境整備のための施策として、子育てにかかる経済的負担の軽減のための施策が重要である。このため、今回の改正では、児童手当制度の支給対象者を拡大することにより、より目に見えやすい形で子育てにかかる経済的負担を社会全体で支援する枠組みを拡大することを重視し、具体的には、義務教育就学の前後では子育てに伴う家庭の精神的・経済的な負担に違いがある点も考慮して、当分の間の措置として、平成3年の改正前の支給対象年齢であった義務教育就学前までに拡大することとしたものである。

第2 改正の内容
1 3歳以上義務教育就学前の児童に対する特例給付の創設
(1) 3歳以上6歳到達後最初の3月31日までの間にある児童を対象として、これを養育する者に児童手当に相当する給付(以下「法附則第7条給付」という。)を支給することとすること。
(2) 法附則第7条給付の所得制限の限度額は、児童手当の所得制限の限度額として政令で定める額とすること。
(3) 法附則第7条給付の額は、児童手当の額と同額とすること。
(4) 法附則第7条給付の費用負担は、次のとおりとすること。
ア 公務員以外の者にあっては、国、都道府県及び市町村(特別区を含む。以下同じ。)が、それぞれ費用の6分の4、6分の1及び6分の1を負担すること。
イ 国家公務員又は地方公務員にあっては、それぞれ国又は地方公共団体が、費用の全額を負担すること。

2 法附則第7条給付に準じた給付の創設
(1) 法附則第7条給付が前記の1の(2)の所得制限により支給されない被用者又は公務員については、その所得が児童手当法附則第6条第1項の給付(以下「特例給付」という。)の所得制限の限度額として政令で定める額未満であるときは、法附則第7条給付に準じた給付(以下「法附則第8条給付」という。)を支給することとすること。
(2) 法附則第8条給付の額及び費用負担については、法附則第7条給付と同様とすること。

3 施行期日及び経過措置
(1) 前記1及び2の改正は、平成12年6月1日から施行すること。
(2) 平成12年6月1日において、法附則第7条給付又は法附則第8条給付の支給要件に該当すると見込まれる者については、児童手当法の一部を改正する法律の公布日(平成12年5月26日)から認定請求の手続をとることができることとすること。
(3) 平成12年9月30日までの間に、法附則第7条給付又は法附則第8条給付の支給要件に該当することとなる者については、同日までの間に認定請求を行えば、支給要件に該当することとなった日の属する月の翌月(平成12年6月1日において該当している者にあっては、同月)分から支給すること。
 なお、既に児童手当又は特例給付の認定を受けている者に係る児童が3歳になったことにより、法附則第7条給付又は法附則第8条給付の支給要件に該当することとなった場合については、児童手当法施行令第18条(同令第20条において準用する場合を含む)により、認定請求を行わなくても認定があったものとみなされることとしていること。

第3 改正法の周知徹底等について
1 改正法の周知徹底について
 今回の児童手当制度改正は、大幅な受給者の増を伴うものであり、国民への十分な周知を図ることにより、請求漏れ等がないよう特に留意する必要があると考えている。貴職におかれても、この点くれぐれも遺憾のないよう御留意いただくことをお願いするとともに、併せて市町村への周知並びに助言等についても特段の御配慮をお願いする。

2 その他
 今回の改正に関連して、年少扶養控除の特例の見直し及び子育て支援基金の拡充について一言付言する。
 平成12年3月31日付けで租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成12年法律第13号)が公布され、同法第3条により、経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成11年法律第8号)の一部改正が行われている。具体的には、同法に基づいて平成11年度から実施されていた16歳未満の扶養親族に係る扶養控除の額(38万円)の加算(10万円)措置が廃止されることとなり、これによる税収増は、今回の児童手当制度改正のための財源として充てるとの考え方に立っているところである。
 もとより扶養控除は担税力を調整するという税制上の仕組みであり、児童手当とは制度の目的・位置付けを異にしているが、子育ての経済的な負担を軽減するという機能では重複している面がある。その際、扶養控除は、高所得者に対してより大きい効果があるが非課税世帯には効果がなく、一方で児童手当は、定額であるが、低所得者に必ず給付されるといった違いがある。今回の児童手当制度の拡充は、児童手当と扶養控除の見直しを行うことにより、財政・税制を通じて少子化対策の重点化を図るものである。
 また、今回の改正と併せて、平成12年度予算において、社会福祉・医療事業団の子育て支援基金を従来の900億円から1,300億円に拡充したところであり、税制改正の影響を受ける家庭等に対しては、この基金による小・中学生などを対象とする事業の助成の充実、その他の子育て支援施策全体の中で配慮していくこととしているところである。
 貴職におかれては、この点についても併せて、関係各方面への周知について御配慮をお願いする。