3.面接の留意点
| 採用面接で応募者に思想信条に関することを聞いても良いかということ |
| が頻繁に問題になります。 |
| 企業には採用選考に際してどういう理由で不合格にしようと、採用が強 |
| 制されることはないという「採用自由の原則」(「契約自由の原則」)が |
| あります。その「採用の自由」の一環として「調査の自由」が認められて |
| おり、基本的に採用面接の際に支持政党などの思想信条にかかわることを |
| 訊ねることはもちろん、思想信条を理由に採用をしないことも許されます。 |
| 労働基準法第3条では「使用者は労働者の国籍、信条または社会的身分を |
| 理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱いを |
| してはならない。」とされていますが、そもそも労働基準法第3条は、採 |
| 用後の問題で採用前に適用されることはないため、思想信条を理由にして、 |
| 不採用とすること自体は同条には違反しないということになります。 |
| また、ある最高裁判例によれば「労働者を雇い入れようとする企業者が |
| その採否決定にあたり、労働者の思想、信条を調査し、そのためその者か |
| らこれに関連する事項について申告を求めることは違法とはいえない。」 |
| (最高裁昭48年12月12日判決)との判決が下されています。この様 |
| に、労働法上は「採用の自由」が使用者にとっての絶対的な権利とされて |
| いますが、思想信条を理由に採用において差別することが明らかな場合、 |
| 不採用となった応募者とのトラブルの種になりかねませんので、実務上は |
| 思想信条について直接応募者に対し、聞かないほうが妥当であると考えら |
| れます。 |

mailto:ec20@ecall.co.jp奥田康博