16.採用と源泉所得税
| 個人の所得税は個人が自主的に申告して納付する「申告納税制度」が原 |
| 則となっていますが、給与所得などの特定の所得については、その所得の |
| 支払時に支払者が所得税を徴収して納付する「源泉徴収制度」が採用され |
| ています。この場合、給与を支払う会社や事業主は「源泉徴収義務者」と |
| 呼ばれ、給与から天引きした源泉所得税を期限迄に国に納付する義務があ |
| ります。 |
| 具体的には「源泉徴収義務者」は以下のようなことを行わなければなり |
| ません。 |
| 1)「給与支払事務所等の開設届出書」の提出 |
| 期 限・・新たに給与の支払事務を取り扱う事業所を設けた日 |
| から1ケ月以内 |
| 提出先・・所轄税務署 |
| 2)「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の確認と保管 |
| 従業員を採用した場合、最初に給与を支払う日の前日までに |
| その従業員から「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出して |
| もらい、扶養家族の数などを確認します。 |
| これは各従業員の源泉所得税を計算する際に適用すべき税額 |
| 表や区分を決定するために必要な資料で、税務上の証拠資料で |
| もある為、給与の支払者が保管しておかなければなりません。 |
| この申告書の提出がない場合、源泉徴収税額表は甲欄ではな |
| く乙欄(甲欄よりも高い税額となります)により徴収しなけれ |
| ばなりません。また、乙欄適用の場合は年末調整は出来ません。 |
| *2ケ所以上勤務の場合 |
| 別の会社などにも勤務しており、その別の会社に「給与所得者の |
| 扶養控除等申告書」を提出している場合は「給与所得者の扶養控除 |
| 等申告書」を重複して提出することは出来ません。この場合上記の |
| 様な従たる給与は源泉徴収税額表の乙欄適用となり年末調整は出来 |
| ませんので、確定申告をしてもらうようにしてください。この申告 |
| 書をいずれの会社等に提出するかはその人の任意です。 |
| *「従たる給与についての扶養控除(異動)申告書」 |
| 2ケ所以上から給与の支払を受ける人で、主たる給与(「給与所得 |
| 者の扶養控除等申告書」を提出した会社等から受ける給与)が一定の |
| 金額に満たないと見込まれる人が「従たる給与についての扶養控除等 |
| (異動)申告書」を提出した場合に、主たる給与以外の給与(従たる |
| 給与)で配偶者控除や扶養控除を受けることが出来ます。 |
| 一定の金額とは以下の金額の合計です。 |
| (1)主たる給与から控除される社会保険料の額 |
| (2)その人の障害者控除額、老年者控除額、寡婦(寡夫)控除 |
| 額、勤労学生控除額、配偶者控除額、扶養控除額及び基礎 |
| 控除額の合計額 |
| *日雇労働者のように適用される税額表が日額表の丙欄とされる人は、こ |
| の申告書を提出する必要はありません。 |
| 3)源泉所得税の徴収と納付 |
| 徴収する時期・・給与の支払い時 |
| 納付期限・・・・原則給与を支払った月の翌月10日まで |
| *給与を支給される人が常時10人未満の源泉徴収義務者で |
| 「納期の特例」の承認を税務署長から受けた場合は毎年1月 |
| 10日(一定の要件に該当し、税務署長の承認を受けた場合 |
| は1月20日)及び7月10日の年2回の納付期限となり |
| ます。 |
| *納期限までに納付できなかった場合は、不納付加算税と延 |
| 滞税を源泉徴収義務者である給与の支払者が負担しなけれ |
| ばなりません。特に不納付加算税は1日でも納付が遅れた |
| 場合でもかかってきますので、納期限は厳守して下さい。 |
| 4)「源泉徴収簿」を作成し、各人ごとに支払給与、社会保険 |
| 料、徴収税額を正確に記録し保管しておくこと |
| 5)給与を支払う際に給与金額や徴収税額等を記載した給与明 |
| 細書を作成し本人に渡すこと |
| 6)年末調整を行うこと及び翌年1月までに源泉徴収票を作成 |
| し本人に交付すること |
| 一定のものについては税務署に提出すること。また年の途中の退 |
| 職者については源泉徴収票を退職後1ケ月以内に交付する。 |
| 7)給与事務を取り扱う事務所を移転したり廃止したりした時 |
| は、その移転または廃止の日から1ケ月」以内に、その旨を |
| 記載した届出書を税務署長に提出しなければなりません。 |

mailto:ec20@ecall.co.jp奥田康博