合理的な賃上げをするための病院賃金管理ノウハウ
98年2月27日実施のセミナーレジュメ
Updated on 2/26/98

1.「介護」という職群がクローズアップ
1)「介護」のウェイトが大きくなる職務体制
2)分業体制から担当制への流れ
3)資格の価値が変わる
4)「価値がある職員」の視点が変わる

2.病院における新しい人事体制の枠組み
1)急性期医療中心の病院〜野球型
・ドクターを頂点に組織的に動く体制
・役割分担の明確化と職務の線引き
・指揮命令系統の明確化
・資格別の職階制(役職で階層を設定する)が適合する
2)慢性期医療中心の病院〜サッカー型
・チーム型組織としての行動
・基本的な役割分担はあるが、臨機応変さが求められる
・クライアントの「一部」ではなく「トータル」で看る体制
・自ら考え、実行できる人材が要求される
・意識の転換を迫る人事体制への試み

3.病院における人事評価体系の考え方
1)人事評価は2とおりがある
・時価(現在の価値)をみる評価
・期間実績をみる評価
2)等級制度は本当に必要か
・人事体系の基本骨子になっている等級制度
・律令の昔から存在する等級制度の謎
・意図的に「序列」を設定することによって何かをねらう手法
3)能力等級制度とは
・能力の「序列」を設定することによって何をねらうか
・チーム型組織に「序列」は似合わない
4)職能資格制度は使えるか
・一般企業ではことごとく失敗している職能資格制度
・ポスト不足を能力等級で補い、モラルを金で買う制度
・人事異動が制度化されている企業なら価値はある
・馬=人参方式による能力育成を意図したものの…
・能力の序列制度が機能しない理由
5)人事評価の原点
・評価制度のめざすところ
・人事評価を行う度に何かが変わらなければならない
6)今までの常識の限界
 人事制度、特に根幹となる人事評価制度を構築する場合によく陥る勘違いがあります。それは、「評価制度構築=詳細な基準づくり」と思い込むことです。
1.社員を活性化したい
       ↓
2.そのためには評価をしなければならない
       ↓
3.評価は公正にしなければならない
       ↓
4.そのためには明確な基準が必要だ
       ↓
5.そのためのモノサシとして、詳細な評価基準を設定する必要がある!…?

4.人事評価制度の改定実務
1)人事評価制度の改訂にあたっての留意点
・「何を評価すべきか?」という進め方の罠
・熱心に作れば作るほど紙が増える
・文字には限界がある
2)絶対評価は幻想
・絶対評価信仰
・「絶対」の意味
・相対評価をうまく活かすことがコツ
3)現在価値をみる評価〜マトリクスによる等級設定法
・2つの軸で職種の傾向を表す
・メインマトリクスの軸を考える〜代表的な2つの切り口で構成
・等級の「切り方」
4)期間実績をみる評価は加点方式で
・加点評価の視点
・すでに順番や意思は決まっている
・あなたは、なぜ、彼女をそう認定したのか?が説得できるか
・「モノは言い様」の加点方式
・「説得できる理由づけ」が評価の品質を向上させる
・達成すべきゴールが明確で納得性が高い場合にのみ「±評価」が使える
・正規分布信仰の勘違い
・明確な役割や責任を提示できないことが圧倒的に多い
・認定材料としての事実の記述
・マイナス行動のペナルティ
・品質維持は公表と事後サーベイ

5病院における賃金体系の考え方
1)職種別に分ける必要性は
・基本的な職種区分で
2)累積賃金と時価賃金
・上限下限を設定するだけの累積賃金
・昇給とベースアップ
・時価賃金の設計法
3)手当はどうする
・資格手当
・生活関連手当
4)賞与
・後払いか成果配分か
・基本給非連動の賞与
5)退職金
・退職金の意義
・基本給とは非連動へ
・積立方法について