平成10年賃金構造基本統計調査結果速報
〜労働省〜
Updated on 3/30/99

1 調査の概要
1)この調査は、我が国の賃金構造の実態を明らかにするため、毎年6月分の賃金等について実施しているものである。
2)調査対象は、日本標準産業分類による9大産業(鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業)に属する5人以上の常用労働者を雇用する民営事業所及び10人以上の常用労働者を雇用する公営事業所から抽出した約7万1千事業所である。
3)本速報は、10人以上の常用労働者を雇用する約4万6千民営事業所(集計労働者数:約123万人)に関する集計結果を取りまとめたものである。
 なお、パートタイム労働者と表現したもの以外で特に表記がない場合は、一般労働者についての記述である。

2 調査結果の概要
【ポイント】
1)賃金、対前年比  ―対前年比は0.1%で調査開始以来最低の伸び―
 所定内給与(以下「賃金」という。)は、男女計で299,100円、対前年比は0.1%と調査開始以来最低の伸びとなった。男女別には、男性336,400円(対前年比−0.2%)、女性214,900円(同1.0%)となった。

2)男性労働者  ―対前年比は小規模企業、高卒、中高年層などでマイナス―
(1)賃金がピークとなる年齢は前年同様50〜54歳となり、年齢階級別にみると、25〜29歳、45〜54歳で前年の額を下回った。
(2)学歴別では、高卒及び中卒の中高年層全般で対前年比がマイナスとなっているが、高専・短大卒、大卒と学歴が高くなるほどこの傾向はみられなくなっている。また、20〜24歳と他の年齢階級間の賃金格差を学歴別にみると、各学歴とも概ね40歳以上の中高年層で格差が縮小している。

(3)企業規模別にみると、大企業(常用労働者1,000人以上)の賃金は389,300円(対前年比0.3%)、中企業(同100〜999人)が325,700円(同0.1%)、小企業(同10〜99人)が300,900円(同−0.5%)と、小企業の対前年比はマイナスとなった。
(4) 勤続年数は13.1年となり、前年より0.2年短くなった。

3)女性労働者  ―対前年比は4年連続1%台の伸び ―
(1)対前年比は1.0%と4年連続1%台の伸びとなり、賃金がピークとなる年齢階級は、前年同様35〜39歳となっている。
(2)学歴別では、高卒で対前年比がわずかにマイナスになっているほかは、いずれも0.5〜1.3%の上昇となっている。また、20〜24歳と他の年齢階級との賃金格差を学歴別にみると、大卒の格差の推移は年齢階級ごとに様々であるが、他の学歴では近年はあまり大きな変化はみられない。
(3)大企業と他の企業規模との企業規模間賃金格差を10年前、5年前と比較してみると、中企業、小企業ともほぼすべての年齢階級で格差が縮小傾向を示している。
(4)勤続年数は8.2年となり、前年より0.2年短くなった。

4)女性パートタイム労働者  ―南関東地域と他の地域との格差が拡大―
(1)1時間あたりの賃金は886円で、前年(871円)に対して1.7%上昇した。
(2)南関東地域とその他の地域間の賃金格差を前年と比較すると、横ばいの東北地域と山陽地域を除き、すべての地域で拡大している。
(3)勤続年数は4.8年となり、平成5年から9年までほぼ伸び続けていたのが、前年より0.3年短くなった。

(注)
1)10人以上の常用労働者を雇用する民営事業所に関する集計は、昭和51年以降行っているものである。
2)集計対象者は、常用労働者(臨時・日雇名義であっても、前2カ月にそれぞれ18日以上雇用された者を含む。)であり、一般労働者とパートタイム労働者(同一企業の一般労働者より1日の所定労働時間又は1週間の労働日数が少ない労働者)とに区分して集計している。
3)賃金におけるべース・アップの算入の割合(1月〜6月中にベース・アップを決定し6月分の所定内給与額に算入されている労働者及びベース・アップをしないことを決定している労働者の全労働者に対する割合をいう。)は、次のとおりである。

(単位:%)
企業規模計 大企業 中企業 小企業
平成9年 10 平成9年 10 平成9年 10 平成9年 10
85.1 85.9 91.0 91.8 84.2 86.9 81.1 80.2
3 調査結果