平成9年労働者健康状況調査結果
〜労働省〜
Updated on 7/2/98

T 調査の概要
1 この調査は、事業所における労働者の健康状況、健康管理対策の推進状況等を明らかにするとともに、労働者個人の健康状況、自主的な健康管理の推進及び心の健康(メンタルヘルス)をも含めた総合的な健康対策等の実態を把握し、労働衛生行政運営上の基礎資料とすることを目的とし、平成9年11月に実施したものである。
2 調査対象は、日本標準産業分類による林業、鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業に属する常用労働者を10人以上雇用する民営事業所のうちから抽出した約12,000事業所(有効回答率85.6%)並びにこれらの事業所に雇用されている労働者のうちから抽出した約16,000人(同81.1%)を対象とした。
3 調査の内容は、原則として平成9年10月31日現在(一部については過去1年間)の状況である。

U 調査結果の概要
〔事業所調査〕
1 健康診断の実施状況−定期健康診断の実施率は前回をやや下回る84.8%、小規模事業所で低い
1)過去1年間(平成8年11月1日から平成9年10月31日まで、以下同じ)に定期健康診断を実施した事業所の割合は84.8%で前回調査〔85.7%〕を下回っている。事業所規模別にみると、100人以上の規模では実施率は99%を上回るが、10〜29人規模では80.6%と低くなっている。
2)定期健康診断を実施する上での問題点をあげる事業所は45.3%とほぼ半数を占めている。実施上の問題としては、「健康診断を実施する時間がとれない(とりにくい)」(28.5%)「健康診断に要する費用が高額である」(20.6%)などが多くなっている。
3)過去1年間にがん検診を実施した事業所は35.3%、人間ドックを実施した事業所は35.7%で前回〔それぞれ28.6%、31.7%〕に比べ実施率が上昇している。
4)健康診断等による有所見者がいる事業所(79.5%)のうち「健康管理のための措置」を講じている割合は71.9%で、28.1%の事業所では「特になにも行っていない」となっている。

2 健康づくり推進対策の実施状況−健康づくりの取り組み事業所は5割弱で前回よりやや上昇
1)労働者の健康づくりに取り組んでいる事業所の割合は46.4%で、前回〔43.9%〕よりやや上昇した。健康づくりの取組み内容は、「健康相談」(43.1%)、「職場体操」(42.3%)、「職場内のスポーツ競技、大会の実施」(36.8%)などとなっている。
2)健康づくりに取り組んでいる事業所のうち専門スタッフを配置している割合は64.4%で専門スタッフとしては、「産業医」(62.6%)、「衛生管理者又は衛生推進者」(60.7%)が多くなっている。

3 心の健康対策(メンタルヘルスケア)の実施状況−心の健康対策の実施率は26.5%
 心の健康対策(メンタルヘルスケア)に取り組んでいる事業所の割合は26.5%〔前回22.7%〕で、取組みの内容は「スポーツ、レクリェーションの実施」(52.6%)、「定期健康診断における問診」(50.1%)、「相談(カウンセリング)の実施」(46.4%)が多い。

4 喫煙対策の実施状況−喫煙対策の実施率は47.7%で、なお半数以下
 喫煙対策に取り組んでいる事業所の割合は全体の47.7%で、前回〔34.1%〕より13.6ポイント上昇しているが、なお半数以下となっている。取組みの内容は、「禁煙場所、喫煙場所を設けている」(78.8%)、「会議、研修等の場所を禁煙にしている」(28.8%)などが多い。

5 労働者の健康管理の状況−重要課題は健康診断の完全実施と事後措置など
 労働者の健康管理対策の重要課題としては、「定期健康診断の完全実施」(50.0%)、「定期健康診断の事後管理」(43.4%)、「中高年労働者の健康対策」(34.7%)、「人間ドックの実施、充実」(32.9%)、「がん検診の実施、充実」(24.1%)、「職場環境の整備」(23.7%)等をあげる事業所が多い。

〔労働者調査〕
1 疲労、ストレスの状況−労働者の仕事でのストレス、心身の疲労は増加傾向
1)ふだんの仕事で身体が「疲れる」労働者の割合は72.0%、神経が「疲れる」割合は74.5%でともに前回〔それぞれ64.6%、70.1%〕を上回る。
2)職場での喫煙に対し、不快に感じることや体調が悪くなることがある労働者の割合は49.8%で、非喫煙者では63.2%と6割を上回る。
3)仕事や職業生活で「強い不安、悩み、ストレスがある」労働者の割合は62.8%〔前回57.3%〕で、その内容は「職場の人間関係の問題」(46.2%)、「仕事の質の問題」(33.5%)等が高くなっている。
4)家庭生活で「大きな心配ごと、悩みごとがある」労働者の割合は44.6%。

2 疲労の回復状況等−疲労を翌朝に持ちこす労働者の割合は約6割
 「翌朝に前日の疲労を持ちこすことがときどきある」労働者の割合は42.7%で、「よくある」(11.3%)、「いつも持ちこしている」(4.4%)を合わせると、約6割の者が疲労を翌朝に持ちこすことがあるとしている。

3 健康状態、健康管理の状況−約4分の3の労働者が健康管理等で会社に期待
1)現在の自分の健康状態については、「まあ健康である」(66.2%)、「やや不調である」(17.2%)、「非常に健康である」(10.6%)、「非常に不調である」(2.1%)となっている。
2)ふだん何らかの自覚症状のある労働者の割合は83.7%。自覚症状の内容では「肩、腕、首すじのこり・痛み」(51.9%)、「目のかすみ・疲れ」(44.1%)、「腰の痛み」(39.9%)等の割合が高い。
3)健康管理、疲労・ストレス解消のために「会社に期待することがある」労働者の割合は76.1%で、その内容としては「職場内外における休養施設・スポーツ施設の整備、利用の拡充」(31.1%)、「健康診断の結果に応じた健康指導の実施」(25.3%)等が高い。

4 健康診断の受診等の状況−定期健康診断の受診率は85.1%
 定期健康診断を受診した労働者の割合は85.1%、がん検診は24.7%、人間ドックは16.6%となっている。

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