I. 調査の概要
この調査は、事業所と労働者を対象として、労使間の意志疎通を図るためにとられている方法及びその運用状況並びに労働者の意識等を明らかにし、労使関係の実態を総合的に把握することを目的としたものである。
調査対象は、日本標準産業分類による鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、 運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業の9大産業に属する常用労働者30人以上を雇用する民営事業所から一定の方法により抽出した約4,000事業所及びその事業所に雇用される労働者のうち一定の方法により抽出した約7,000人の労働者である。
調査は、平成11年7月に実施し、調査内容は平成11年6月30日現在の状況で、有効回答率は事業所調査が70.9%、労働者調査が65.1%であった。
なお、前回は平成6年に事業所規模50人以上を対象に、事業所調査及び労働者調査を実施している。
U. 調査結果の概要
1 労使コミュニケーション全般
(1)労使コミュニケーションを『重要』と思っている事業所は86.2%(「大変重要」21.2%、「かなり重要」20.0%、「重要」45.0%)となっている。一方、事業所での労使コミュニケーションが『良好』と思っている労働者は42.2%(「非常に良い」8.4%、「やや良い」33.8%)、「どちらともいえない」44.8%、『悪い』13.0%(「やや悪い」9.8%、「非常に悪い」3.2%)となっている。
(2)事業所が、従業員との円滑なコミュニケーションを実現するために重視するものは「職場の人間関係」(59.3%)、「日常業務方法改善」(48.1%)、「作業環境改善」(37.4%)の順となっている。一方、労働者が、満足のいく労使コミュニケーションとして重視するものは「職場の人間関係」(49.1%)、「賃金制度・水準・手当」(42.3%)、「労働時間・休日・休暇」(41.3%)の順となっている。
(3)事業所における労使コミュニケーションのための機関・制度等では「職場懇談会」、「従業員組織(社員会)」の設置割合が比較的高い。「苦情処理機関」、「自己申告制度」の設置割合は低いものの前回に比べ増加の傾向にある。
(4)経営状況や経営計画・方針等を従業員に周知している事業所の割合は95.5%。周知方法は「一定の役職者に説明する」(70.2%)、「従業員全員の集まる場(朝礼等)で説明する」(65.6%)、「社内報や掲示で伝える」(43.4%)となっている。
2 労働者の不平・不満と苦情処理機関
(1)過去1年間に自分自身の不平・不満を述べたことが「ある」労働者は37.4%、「ない」労働者は61.9%。事業所規模50人以上で、不平・不満を述べたことが「ある」労働者の割合は39.5%、前回(26.5%)と比べその割合は高まっている。不平・不満を述べない理由は、「述べたところでどうにもならないから」(41.3%)、「不平・不満を述べる正式のルートがないから」(10.5%)など不平・不満があっても述べない労働者の割合(51.8%)が「特に不平・不満がないから」(36.3%)とする割合よりも高い。
(2)不平・不満を述べる方法は「直接上司へ」(75.2%)が圧倒的であり、「苦情処理委員会等の機関へ」(1.5%)は少数である。
(3)苦情処理機関の「ある」事業所の割合は25.2%。苦情処理機関の「ない」事業所(74.7%)での不平・不満の取り上げ方は、「上司が相談にのる」が86.6%で最も高い。
(4)労働者が述べた不平・不満の内容は「日常業務の運営等に関する苦情」が男女とも高く(男51.8%、女51.9%)、次に男は「作業環境等に関する苦情」(36.9%)、女は「人間関係等に関する苦情」(38.7%)となっている。苦情処理機関に過去1年間に申し立てられた苦情は、男は「日常業務の運営等に関する苦情」(35.6%)、女は「人間関係等に関する苦情」(30.9%)が最も高い。
(5)労働者が不平・不満を述べた場合には、「納得のいく結果は得られなかった」が41.7%で、「納得のいく結果が得られた」の20.3%を上回っている。苦情処理機関での解決状況みると、「話を聞いて納得したものが多い」と認識している事業所は65.3%となっている。
3 労使協議機関
(1)労使協議機関の「ある」事業所の割合は41.8%。労使協議機関に付議する事項は「労働時間・休日・休暇」(87.3%)、「勤務態様の変更」(84.9%)、「職場の安全衛生」(83.1%)等が高くなっている。
(2)労使協議機関の成果について、「かなりの成果があった」とする事業所の割合は63.0%で、主な成果は「労働組合との意志疎通が良くなった」(63.9%)、「企業活動の運営が円滑になった」(41.0%)等となっている。
(3)労使協議機関が「ある」と答えた労働者は53.2%。協議内容、結果についてどの程度知っているかでは、「一部知っている」が43.0%、「大体知っている」が38.0%。どのような方法で知ったかをみると、「労働組合の広報資料等」が65.0%で最も高い。
4 その他の労使コミュニケーション施策
(1)職場懇談会の「ある」事業所の割合は55.3%。開催は「必要のつど開催」とする事業所の割合が56.1%。過去1年間に主に話し合われた事項は「日常業務の運営に関すること」が71.3%で最も高い。成果については、「かなりの成果があった」とする事業所は56.6%で、主な成果は「業務運営が円滑になった」(68.9%)となっている。
(2)従業員組織(社員会)の「ある」事業所の割合は50.8%。主な活動は、「文化・レクリエーション活動」(80.2%)、「慶弔金支給、貸付金などの共済活動」(72.4%)となっている。
(3)自己申告制度の「ある」事業所の割合は40.8%。申告される事項は、「希望業務」(77.6%)が最も高い。
5 労働組合に関する意識
労働組合についての考え方をみると、労働者の7割以上が必要(「労働組合は是非必要だ」(33.1%)、「労働組合はどちらかといえばあった方がよい」(41.2%)としており、会社に組合が「ある」場合は8割以上が加入している。会社に組合がある場合でも、加入していない理由は、「加入資格がないので」が6割弱である。 パート労働者では、この割合は8割を超えている。
6 労働条件の個別的決定
労使とも、今後5年間で労働者個人が直接上司と話し合って、労働条件や、義務・目標を決めていく方法が増えると予想している。このような方法が増加すると思う事業所は57.0%(「かなり増加する」13.4%、「ある程度増加する」43.6%)となっている。なお、企業規模が大きいほど、この割合が高い傾向がみられる。また、労働組合のある事業所では、「増加すると思う」割合が高くなっている(61.2%)。労働者についても、このような方法が増加すると思っている者が過半数(「かなり増加すると思う」13.4%、「ある程度増加すると思う」40.3%)を超えている。
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