雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等のための労働省関係法律の整備に関する法律については、97年2月7日に第140回通常国会に提出され、審議が重ねられてきたところであるが、6月11日原案どおり可決成立し、6月18日、平成9年法律92号として公布されました。
今回の法改正の概要は次の通りです。事業主の皆様におかれては、法の主旨に御理解・御協力をお願い申しあげます。
1.均等法の一部改正
(1)題目
法律の題目が「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」になります。
(2)男女雇用機会均等対策基本方針
労働大臣は、これまで「女子労働者福祉対策基本方針」を定めていましたが、これに代わり新たに雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する施策の基本となるべき方針「男女雇用機会均等対策基本方針」定めることになります。
(3)雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保
a.女子労働者に対する差別の禁止
雇用の分野における第序の均等な機会及び待遇の確保を確固たるものとするため、これまで事業主の努力義務となっていた募集・採用、配置・昇進について、女性に対する差別が禁止され、また教育訓練について差別が禁止される対象の範囲に限定がなくなります。
これにより、募集・採用から定年・解雇に至る雇用管理において、事業主が女性に対して差別することが禁止されることになります。
なお募集・採用、配置・昇進及び教育訓練について、禁止される差別的取扱の内容を具体的に明らかにするために、労働大臣は指針を定めることになります。
またこれまで認められていた女性のみを募集することや女性のみを配置すること等は、女性の領域を固定化したり男女の職務分離をもたらす等の弊害が認められるため、原則として「女性に対する差別」として新たに禁止されます。
b.ポジティブアクション
国は雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的とする次に掲げる措置(注:ポジティブアクション。男女労働者の間に事実上生じている差を解消する為の取組)を講じ、または講じようとする事業主に対し、相談その他の援助を行うことができる旨の規定が新設されました。
イ その雇用する女性労働者の配置その他雇用に関する状況の分析
ロ イの分析に基づき必要となる措置に関する計画の作成
ハ ロの計画に定める措置の実施
ニ イからハまでの措置を実施するための措置の強化
(4)実効性を確保するための措置の強化
a.企業名の公表
女性労働者に対する差別を禁止する規定に違反している事業主がその是正を求める勧告に従わない場合は、労働大臣がその旨を公表する制度が創設されました。
b.調停制度の改善等
個別紛争の迅速・簡便な解決を図る手段としての調停制度について、これまでは紛争の当事者の双方の合意が条件でしたが、当事者の一方からの申請により調停ができるようになったこと等、制度が改善されます。
(5)女性労働者の就業に関して配慮すべき措置
a.セクシャル・ハラスメント
事業主は、職場における性的な言動に起因する問題(セクシャル・ハラスメント)を防止するため雇用管理上必要な配慮をしなければならない旨の規定が新設されました。
労働大臣は事業主が配慮すべき事項についての指針を定めることとしています。
b.妊娠中及び出産後の健康管理
母性保護に関する措置の充実の一環として、これまで事業主の努力義務であった妊娠中及び出産後の女性労働者の健康管理に関する措置が事業主に義務づけられます。
労働大臣は、事業主が講ずべき措置に関して指針を定めることとしています。
2.労働基準法の一部改正
(1)女子の時間外及び休日労働並びに深夜業の規制の解消
満18歳以上の女性労働者に係る時間外及び休日労働並びに深夜業の規制が、女性の職域の拡大を図り、均等な取扱を一層進める観点から解消されます。これにより女性労働者も深夜業等を行うことが可能になります。
(2)多胎妊娠の場合の産前休業期間の延長
産婦人科医等の専門家の検討結果を踏まえ、多胎妊娠の場合の産前休業期間が、現行の10週間から14週間に延長されます。
3.育児・介護休業法の一部改正
育児又は家族介護を行う労働者の深夜業を制限する制度が創設されました。具体的な制度の内容は次の通りです。
(1)事業主は小学校就業の始期に達するまでの子を養育する労働者であって次の何れかにも該当しないものがその子を養育するために請求した場合においては、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、深夜において労働させてはなりません。
イ 引き続きこようされた期間が1年に満たない労働者
ロ 深夜において、その子を常態として保育することができる同居の家族その他の労働省令で定めている者がいる労働者
ハ イ及びロの他、請求をさせないこととすることについて合理的な理由があると認められる労働者として労働省令で定めるもの
(2)(1)による請求は、1回につき1月以上6月以内の期間について、開始の日及び終了の日を明らかにして、開始の日の1月前までにしなければなりません。この請求は何回もすることができます。
(3)(1)及び(2)は要介護状態にある対象家族(注:配偶者、父母及び子。これらに準ずる者として、労働者が同居かつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫を含む)、配偶者の父母を介護する労働者が当該対象家族を介護するために請求した場合について準用します。
4.労働省設置法の一部改正
「都道府県婦人少年室」の名称が「都道府県女性少年室」に変更になります。
5.施行期日
平成11年4月1日から施行されます。
但し4の名称の変更に関する規定については、公布の日から6月以内の政令で定める日から、また1の(5)及び2の(2)の母性保護に関する規定については、平成10年4月1日から施行されます。
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