平成10年人事院勧告
Updated on 8/15/98

I  勧告するに当たっての基本認識
・近時の不祥事を厳しく受け止め、適切な対応が必要。そのための具体策を提言
・民間では経営合理化の取組が進展。公務でも組織定員の削減、事務・事業の効率化の推進の必要性を認識
・社会経済システムの構造変化の下、時代の変化に対応し得る弾力的な人事システムへの転換を推進

II 給与改定
 民間企業の約 7,600事業所を、給与改定の有無に関わりなく、個人別給与を実地調査
  〜大部分の事業所で給与改定
1.官民較差
(1)較差 2,785円 0.76%(内訳 本較差 0.71% 遡及改定分 0.06%)
(2)配分 俸給 2,247円 諸手当 395円 はねかえり分 143円 計 2,785円
〔行政職(一)・(二)  現行給与 364,113円  平均年齢 40.0歳〕
2.改定の内容〜民間給与の水準との均衡 給与配分の適正化
1)俸給表<給与カーブの「早期立ち上がり型」への修正>
ア 行政職(一)の初任給(勤務地に応じて調整手当を加算)
  I 種 184,200円(現行 183,200円) II 種 174,200円(現行 173,000円) III 種 141,700円(現行 140,700円)
イ 行政職(一)中堅層の改善に重点 引上率0.3%〜1.0%(平均0.7%)
  (参考)行政職俸給表(一)
ウ 各俸給表 行政職との均衡を基本に改定 看護婦等に配慮
  公安職(一)に特2級を新設(刑務官等の職務の実態を考慮)
2)昇給  原則55歳昇給停止(現行58歳)
 (民間賃金の動向への対処、世代間の給与配分の適正化)
3)手当<職員の経済的負担、人材確保、勤務の負担等への対処>
ア 扶養手当 高校生、大学生等の子がいる場合の加算額 1人につき4,000円 → 5,000円
イ 単身赴任手当 ・基礎額 20,000円 →23,000円
・加算額 距離区分に応じて4,000円 〜 29,000円 → 6,000円 〜 45,000円
ウ その他
・医師の初任給調整手当 ・医療職(一) 最高 312,200円 → 316,400円
・医療職(一)以外(医系教官等) 最高 51,400円 → 51,600円
・宿日直手当 一般の宿日直 3,800円 → 4,000円 業務当直 最高 6,800円 → 7,000円 など
・義務教育等教員特別手当 新設の中等教育学校(6年制)の教員にも支給

3.実施時期
 平成10年4月1日(宿日直手当 平成11年1月1日、昇給停止年齢の引下げ・中等教育学校教員への義務教育等教員特別手当の支給 平成11年4月1日)

4.給与制度の改善方向
 民間の賃金体系改革の動き、柔軟で開放的な人事システムへの転換に対応
 職務や個人の能力と実績に応じた給与体系の実現
・福祉関係職員の処遇の確立
・高度の専門職の処遇の枠組みの検討

III 公務運営の改善
1.弾力的な採用、昇進管理等
・II 種 ・ III 種等採用職員の幹部職員への登用は、早期選抜と計画的育成を基本に、各省庁が積極的に取り組むことが重要。本院は、これを促進・支援するため、登用候補者の選抜方法の提示、登用候補者への研修の新設等につき各省庁と協議しつつ具体化を検討−平成11年度目途
・高度の専門性を有する民間の人材を活用するため、任期を限って採用し、その専門性にふさわしい給与等の適切な処遇を確保するシステムの整備を検討−別途意見の申出
・外務公務員採用 I 種試験を廃止(平成13年度)。I 種技術系試験区分の統合・再編を検討
・人材育成のため、在外研修制度を拡充、博士号の取得機会付与、自発的な大学院進学制度等を検討

2.早期退職慣行の見直し
・各省庁はそれぞれの人事管理上の特性を踏まえ、計画的な退職年齢の引上げに努力。退職年齢引上げの取組を政府全体を通じて着実に推進。幹部職員の勧奨退職についての目標を設定し、具体的に促進するための条件整備等を図る必要
・退職年齢の引上げが円滑に進むよう、能力、適性を重視した複線的人事管理、スタッフ職等の整備と適切な処遇の確保へ向けての取組

3.超過勤務の縮減
・超過勤務の上限時間数は、災害等避けることのできない事由に基づく場合を除き、年間360時間を目安。育児・介護責任を有する職員には、年間360時間の上限規制を導入
・各省庁の国会、予算等の業務については当面目安時間の設定は困難。業務の合理化に向け、行政部内全体での取組のほか、関係各方面の理解と協力を得る必要
・やむを得ない長時間の超過勤務は、厳重なチェック、健康診断を徹底。「早出、遅出」の積極的活用

4.女性の採用、登用等
・女性の採用、登用等を一段と促進。セクシュアル・ハラスメント防止対策を検討

5.懲戒制度の整備
・地方公共団体、特殊法人等へ辞職出向し復職した職員の出向前の非違行為が復職後に判明した場合等に、懲戒処分をすることができるよう法整備−別途意見の申出を予定