週40時間労働制 2年の指導期間設定へ
〜96年12月7日 朝日新聞報道〜

週40時間労働、4月実施  2年の指導期間
 週四十時間労働制への全面移行問題を検討してきた中央労働基準審議会(労相の諮問機関)は
六日、来年四月からの移行を盛り込んだ報告を承認した。ただし、移行に伴う混乱を防ぐため、
報告は二年間の指導期間を設け、労働時間違反があってもただちに摘発せずに、行政指導に重点
を置くこともうたっている。労働省はこれをもとに、時短促進法の改正案を年明けの通常国会に
提出する。
 審議会に先立つ労働時間部会では「指導期間を設けるのは納得できない」などと反対意見が出
され、労働側委員四人のうち一人が報告案の賛否の評決を棄権した。さらに、引き続いて開かれ
た本審議会でも六人の労働側委員のうち二人が棄権するという異例の展開となった。
 労働省は今回の全面移行によってこれまで週四十四時間制だった中小、零細企業など二百十四
万社(労働者三千二百万人)に四十時間制が適用されることになるという。しかし、厳しい経営
環境を理由に四十時間への移行の猶予を求めてきた中小企業の中には、指導期間を事実上の「猶
予措置の延長」と受け止める向きも少なくなく、不鮮明な形のスタートになりそうだ。
 来年四月からの週四十時間制は労働基準法の改正によって既定の方針だった。ところが、全国
中小企業団体中央会など中小企業四団体は昨年秋から猶予措置の延長を自民党などに重ねて働き
かけてきた。一方、労働省の調査で、来年四月に週四十時間に移行できる中小企業は六割弱に過
ぎないことがわかり、行政指導に重点を置いた方針に転換し、中小企業団体との妥協を図った。
「猶予措置を事実上延長」全労働が批判談話
 中央労働基準審議会が六日まとめた報告について、労働基準監督署などの職員でつくる全労働
省労働組合(全労働、二万人)は同日、「労働省として報告を受け入れるべきでない」とする新
宮峰男書記長の談話を発表した。週四十時間制への移行に際して二年間の「指導期間」を設ける
ことは、「罰則の適用猶予によって移行を実質的に棚上げし、猶予措置を事実上延長するための
抜け道だ」などと批判している。