人事評価廃止で活性化?(2)

 次はある企業であったことです。
 平成2年、Aはある企業へ中途入社した。B課長という上司についた。B課長はAを評価する毎にこうコメントした。「(俺から見れば)あいつはまだまだだな。期待するほどではない。」と。
 それから5年後、Aは前の会社で培った人脈をいかして新しい営業構造を構築し業績に大きく貢献した。これを買われて能力主義を標榜するこの企業ではAを営業部長に大抜擢、B課長は部下となった。そして人事評価の時期、A部長はB課長を評して、「彼は、過去はまだしも、今は役に立たない。(私から見れば)期待以下だ。」
 人の評価というのはこのように主観的なものなのです。立場が変われば自分が「上に立って下を見る」のが通常。これはいい悪いではなく自然の姿です。これを絶対評価だ、目標面接だ、評価者訓練だ、といったところで本当は何も変わらりません。評価制度に余計な「手続き」が増えるだけです。根本がズレているのですから、小手先で何をやろうがダメなのです。
 このような「うさんくさい」制度を律儀にやっていけば、間違いなく企業風土は悪化します。だからやめたら活性化したように見えてしまうのでしょう。しかしながら、これはマイナス10がプラスマイナス0になったレベルですので実際には地力はついていないし、真の活性化が図られているとは言えません。

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