人事評価廃止で活性化?(1)

 常識の逆かもしれませんが、従来行っていた人事評価をやめたところ、社員が元気を取り戻した会社があります。それも部下のみならず,上司達にも「あんなものがなくなってよかった」と好評ということです。
 しかし、なぜ一般の常識に逆行するこのようなことが起こるのでしょうか。それは人事評価が暗いからなのです。つまり経営者サイドの思惑だけで、「差をつけることによって社員を動機づけよう」、「能力主義をやっているんだという自己満足をしよう」とする「うさんくささ」があるからなのです。どう理屈をつけようとも,本音にこれがあれば社員はすぐに見破ります。そしてやることは面従腹背、羊頭狗肉。これでは活性化するわけがありません。
 また、通常は評価基準は明確でないため、結果の合理的な説明ができません。そしてほとんどの場合がブラックボックスとなってしまいます。この密室性も「うさんくささ」に拍車をかけるのです。
 一方、評価する側の上司も、すでに頭の中には「序列」ができあがっているので、人事評価などという手続きは煩雑そのもの。さらに悪いことに,自信満々の上司は部下に辛く、逆の上司は全員に「優」をつけるか、全員「普通」としてしまうことも評価を混乱させる原因になっています。このように、一般に行われている人事評価はほとんど意味をなさないものになっているのです。
 この根本原因は「上から下を見る」姿勢にあります。自分が上に立って下にいる者を見下ろす姿勢。こういった姿勢の上司から自分を「査定」されるなど不愉快以外なにものでもないのです。このことはネガティブに聞こえるかもしれませんが、我々が多くの企業の社員と面接をしてきた上での事実です。
 社員を「評価する」ことでコントロ−ルできる、と勘違いをしてはなりません。もうそのような時代は終わりつつあるのですから。

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